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雅歌の森を歩く――没薬の束

4 日前
読了時間: 2分

更新日:3 日前

雅歌1章13節



聖書の中に、「乳房」ということばがある。


雅歌1章13節で、そのことばに出会う。



没薬の束、私の愛する人は、私にとって。


私の乳房の間で、夜を過ごす。



13節は、「没薬の束」から始まる。


ハンモール

הַמֹּר

冠詞・没薬

ツェロール

צְרוֹר

束



続いて、「私の愛する人は、私にとって」。


リー

לִי

私にとって

ドーディー

דּוֹדִי

私の愛する人



そして、ことばは「乳房」へ進む。


ヤーリーン

יָלִין

夜を過ごす

シャーダイ

שָׁדַי

私の乳房

ベーン

בֵּין

〜の間



「私の乳房の間で」。


語っているのは、「私」。


「乳房」は、語っている「私」自身のからだ。



夜を過ごすのは、誰だろう。



ヤーリーンは、三人称・男性・単数の動詞。


この節で、男性・単数のことばは二つ。


ツェロール(束)と、ドーディー(私の愛する人)。


形の上では、どちらとも読める。



訳も、ここで分かれる。


新改訳2017は「私の乳房の間に宿る没薬の袋」。


新共同訳は「わたしの乳房のあいだで夜を過ごします」。



没薬の袋が、夜を過ごすのか。


愛する人が、夜を過ごすのか。



どちらであっても、その場所は「私の乳房の間」と名指されている。



訳語の「乳房」からは、見えないことがある。


「私の乳房」は、ヘブル語で「シャーダイ」。


シャーダイ

שָׁדַי

私の乳房



同じ三文字で書かれることばが、もう一つある。


神の名の一つ、「シャッダイ(全能者)」。


シャッダイ

שַׁדַּי

全能者



違うのは、あとから付けられた母音記号と、真ん中の文字の点だけ。


語の成り立ちが同じかどうかは、わからない。



けれど、創世記49章25節では、全能者の祝福の中に、「乳房と胎の祝福」が置かれている。


ヴァーラーハム

וָרָחַם

そして・胎

シャーダイム

שָׁדַיִם

乳房

ビルコート

בִּרְכֹת

〜の祝福



全能者と、乳房と。


同じ文字で書かれた二つのことばが、一つの節の中に並んで置かれている。



「乳房」は、雅歌の中で八回語られる。


そのうち、全能者と同じ三文字で書かれるのは、三か所。


1章13節「私の乳房の間で」。


8章1節「私の母の乳房」。


8章10節「私の乳房は塔のよう」。


雅歌の初めと、終わりに。



その雅歌の中に、全能者と同じ文字のことばが置かれている。


そのことばに、どのような思いがあるのでしょうか。



誰が、誰の乳房を語るのか。


その声を、これから追いかけていく。



没薬の束。


愛を、わかったことにせずに。

 
 
 

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