口づけから、香りへ(雅歌1:3)
更新日:8月20日
「あなた香油は香り芳しく、
あなたの名は、注がれた香油のよう。
そのため、おとめたちはあなたを愛しています。」(新改訳2017)
最初は、
יִשָּׁקֵנִי
「彼が私に口づけしてくれますように」
その直後に
מִנְּשִׁיקוֹת פִּיהוּ
「彼の口づけをもって」
ここで身体が出て来る。
彼👉彼の口
そして、
כִּי־טוֹבִים דֹּדֶיךָ
「なぜなら、あなたの愛は・・」
三人称だった「彼」が突然、二人称になる。
「彼」👉「彼の口」👉「あなた」
そして、3節。今度は、
לְרֵיחַ שְׁמָנֶיךָ
「あなたの香油の香り」
口づけから香りへ。
身体感覚で見ると、
2節・・口。口づけ。味わうぶどう酒。
3節・・香り。香油。
口づけから香りへ。
感覚の景色まで変わっていく。
しかも3節最後には、
עֲלָמוֹת אֲהֵבוּךָ
「乙女たちはあなたを愛する」
と、乙女たちが現れる。
口づけられる「私」だけの近さから、
「あなたを愛する乙女たち」まで現れる。
景色が広がり始めている。
彼👉彼の口👉あなた👉あなたの香油
雅歌は人物紹介をしていないのに、感覚を通して「彼」が少しずつ近づいてくる。
יִשָּׁקֵנִי
彼が私に口づけしてくれますように
👇
פִּיהוּ
彼の口
👇
דֹּדֶיךָ
あなたの愛
👇
שְׁמָנֶיךָ
あなたの香油
👇
שְׁמֶךָ
あなたの名
へ行く。
しかも、
שֶׁמֶן
(シェメン)=香油
שֵׁם
(シェーム)=名
音まで響き合ってる。
これは面白いね。
最初は「彼」だった。
それが口づけを願うほど近づき、「あなた」になる。
さらに「あなた」の何が良いのかと進んで
愛👉香油👉名
まで来る。
「名」は身体の一部分ではない。
その人を指し示すもの。
単に「いい匂いがする人」と言うところを超えている。
「あなたの名は、注ぎ出された香油」
ここで初めて、「彼とは誰なのだろう」という最初の問いにも、
本文自身が少しずつ近づいているように見える。
彼👉あなた👉あなたの名
これも面白い。
彼。
あなた。
あなたの愛。
あなたの名。
「名」まで来たのに、名そのものはまだ聞こえてない。
2節も、3節も、
語っている女性は彼を名前で呼ばないから。





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