ぶどう酒は嘲る者?(箴言20章)
「ぶどう酒は、嘲る者。強い酒は騒ぎ立てる者。
これにおぼれる者はみな、知恵がない。」
(箴言20:1)
ぶどう酒が擬人化されて登場する。
8章では知恵が擬人化されるが、
ここではぶどう酒。
箴言らしい立ち上がり。
これは、
お酒が悪いという話なのか?
「禁酒の勧め」なのか?
なぜお酒が擬人化されているのか?
原文を覗いてみる。
יַיִן לֵץ שֵׁכָר הֹמֶה
(ヤイン・レーツ シェーハール・ホーメ)
וְכָל־שֹׁגֶה בּוֹ לֹא יֶחְכָּם
(ヴェホル・ショーゲ・ボー ロー・イェフカーム)
※ヘブル語は右から読みます。
前半に虫眼鏡🔍
יַיִן
(ヤイン)ぶどう酒
לֵץ
(レーツ)嘲る者
שֵׁכָר
(シェーハール)強い酒、酔わせる飲み物
הֹמֶה
(ホーメ)騒ぎ立てる者、どよめく者、騒々しい者
「ぶどう酒は、人を嘲る者にする。
強い酒は、人を騒ぎ立てる者にする。」
とは書かれていない。
「ぶどう酒は、嘲る者。」で
「強い酒は、騒ぎ立てる者。」
と置かれている。
どうやら、
「お酒を飲むな。」
という
飲酒の是非を語るだけの話ではなさそうだ。
この擬人化で、
本文は何を見せようとしているのだろう。
後半に虫眼鏡🔍
וְכָל
(ヴェホル)そして、すべての、みな
שֹׁגֶה
(ショーゲ)迷う者、道を踏み外す者、さまよう者、おぼれる者
語根:שׁגה(シャーガ)
意味:迷う さまよう 道を誤る 惑わされる それる
בּוֹ
(ボー)その中に、それによって、それに
לֹא
(ロー)~ではない
יֶחְכָּם
(イェフカーム)知恵を得る、知恵ある者となる
語根:חכם(ハーハム)
意味:賢くなる 知恵を得る 知恵ある者となる
原文訳「これによって迷わされる者は、みな、知恵がない。」
原文は、「知恵がない者である。」という静的な名詞文ではない。
「知恵のある者とはならない。」
「知恵へ至らない。」
という動きを持っている。
すると、
前半の擬人化も、少し意味深になってくる。
酒は、
人格を持った存在のように描かれ、
それに酔って迷う者は、
知恵へ至らない。
すると、問われるのは、
「お酒を飲むか、飲まないか。」
だけでなく、
「何によって迷わされているのだろうか。」
「何かにおぼれていないだろうか。」
という語りかけが聞こえてくる。
「知恵がない」
と宣言される前に、
今、
何かにおぼれていないだろうか。
と立ち止まる。
人は突然おぼれるのではなく、
少しずつ何かが注がれていく者だから。





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